医大生 の blog

医学部のこと。読んだ本について書きます。

儲かる学部、損する学部

どの学部にいけば一番稼げるのか?逆にどの学部は全然稼げないのか?
妄想することはあっても誰も答えられない質問だ。なぜならこの質問に答えることは大学にとってとても都合が悪いことがだからだ。
大学側が協力しないと答えられない質問だが、大学側は協力したくない。儲からない学部を収益のメインとしている大学は特にだ。

しかしこの問題に対する正確な答えが用意された。パンドラの箱が開け放たれたのだ。
これはエコノミストのウェブサイトで2019年11月に公開されたデータだ。

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https://www.economist.com/graphic-detail/2019/11/26/to-make-money-study-maths-or-economics-at-a-top-university より)


縦軸はアメリカにおける卒後一年目の給料で、横軸はAdomissions rate、つまり大学の倍率である。
アメリカでは奨学金が返せないという社会問題が大々的に報道されている。奨学金を借りるということは、お金を借りて自己資本を上げるために投資するということである。アメリカの奨学金制度は国が担っているため、投資で負ける人を少なくするために、国を挙げて上のデータをとったのだ。アメリカは自分たちが貸したお金が滞りなく返済されてほしいがためにデータをとっている。データを歪ませるバイアスは存在しない。残酷ながら非常に正確なデータである。

予想通りなのは文学部、社会学部系、である。これらの大学は稼げない稼げないと言われて久しい。

ここで一言断っておきたいが、私は何も稼げない学部に価値がないなどというつもりは全くない。文学部系の学問の価値の多寡について議論しているわけでもない。ただ、教育投資の見返りとしてどの学部が収益率が高いかという話をしているだけだ。

そして文学部系の投資収益率が悪いのは事実である。
以上の事柄は比較的誰でも知っている話だ。

しかし驚くべきなのは、同じ理系の学部でも自然科学系と建築・工学系との圧倒的な差だ。
自然科学系のトップ層の大学に行った人でも建築・工学の誰でも入れるような大学に行った人の半分しか稼げていない。


この賃金差は生涯にわたって続くだろう。歴史、社会科学系、文学部系、生命科学系にいくのは収入面から考えると大間違いの投資だと明らかに見てわかる。生命科学系に至っては歴史系にまで負ける始末である。

逆に経済、経営、建築、エンジニアリング、数学、物理、コンピューターサイエンスを専攻するのが割が良さそうだ。前記の学部よりも15~30千ドルほど給料が高い。

これが日本において全く当てはまるとは言わない。就職のシステムが大きく異なるからだ。日本は新卒一括採用というシステムを採用しているためどの学生が、どの企業に申し込んでも良い。しかし何を学べば市場において価値が上がるのか、このデータからよくわかるだろう。

高校ではアメリカでも日本でも、どの学部に行くと経済的にお得か、なんてこと教えてもらえない。高校生はなんとか入れそうな大学の、入れそうな学部に行くのである。もしかしたら大学の偏差値を落として、儲かる学部に行ったら方が収入が上がるかもしれなくてもである。


収入が悪いよりは収入が良い方がいいし、特にどの学科を専攻したいとかない、という学生は世界経済がどの分野に秀でた人物を求めているのか知ってから学部を選んだ方がいいのではないか?