たったひとつのグラフで世界史がわかる 統計好きは何も言わずに全員見るべき|バブルチャートで世界史を読み解く
もんのすごく面白いデータがあります。
数字とか統計とか好きな人は何も言わずに全員見てほしい。
世界の国々の平均余命とひとりあたりGDPの関係のグラフです。
しかし全くもって普通のグラフではない。
World Health Chart www.gapminder.org
このグラフの一番面白いところは時間軸でこのグラフを動かせるところです。
1800年から2018年までの各国のデータがあるのですがこれが時間で動くんです。
動画で見てもらいたいです。
1800年までは世界的に貧しく寿命が短いのですが、1900年代から一気に伸び始めます。
すごくないですか??
めっちゃ面白くないですか????
英語のサイトですが、日本語版もあるので本当に是非見てください。
このグラフを眺めているだけで1時間は楽しく過ごました。
名付けるならば「世界史がわかるグラフ」です。
このグラフ一つで近代の世界に起こった人類に大きな影響を及ぼしたできごとがまとめられているといっても過言ではないでしょう。
世界の国々の「Life Expectancy」と「Income」でプロットしています。
一目瞭然、平均余命(*1)とひとりあたりGDPの値には非常に強い相関があります。
有り体に言えばお金がある国ほど健康だということです。
なんとこれ自分で国を指定して時間を動かせます。
例えば第二次世界大戦頃の日本とUSのひとりあたりGDPと平均余命を見たいときにはこうします。
World Health Chart Japan and United States
日本の平均余命とひとりあたりGDPには敗戦の後がくっきり見えます。
そしてその後、脅威的なスピードで回復していったことがわかります。
そしてなんとこのグラフの丸の大きさは人口の大きさを表しています。
つまりこれは「Life Expectancy」と「Income」、「時間」「人口」の四つの変数を同時に一つのグラフに詰め込まれているのです。
面白くないわけがない。
皆さんそれぞれ興味のある国があると思うのでみんな違うことに気づくんじゃないのでしょうか。
このサイトを自分で見てたくさんの発見をして、たくさん疑問を持ってほしいです。
絶対自分で発見した方がおもしろいです。
けど忙しい人のため、と私の気になったことを調べたので自慢したいので載せます。
一通りサイトを楽しんでから見てほしいです。
1918年恐怖の人口減
このグラフを何度か動かしていると必ず気づくのですが、1918年に明らかに平均余命ががくんと下がっている。
人が大量になくなる何かがあったに違いない。このあたりだと第一次世界大戦くらいかなと思ったのですがこんなに一年でがくっと下がるのか、と。
実はこの年、スペイン風邪の大流行があり全世界で5000万人の人が亡くなりました。この当時は現在より人口が少ないので5000万人というのは大量死です。
病原菌の恐ろしさここに極まれりですね。戦争でも多くの人が亡くなりますが、病気はもっと壊滅的に人を殺す。
1800年代は世界が静止している
このグラフは1800年からデータがあるのですが、ここらへんを自分の手で動かしてみてください。
50年の単位でもほとんど変化がありません。
1880年代あたりから各国の余命と収入が劇的に増え始めます。
産業革命です。人間が蒸気機関の発明により太陽エネルギー以外の化石燃料エネルギーを使えるようになったのです。
このため人々の生活の質は劇的に向上します。
1800年代までの世界はそれ以降と比べると凍結していたと言っても過言ではないほど動きがありません。
現在の人間社会の基盤はここから作られはじめます。
毛沢東の大飢饉
1960年代の中国に奇妙な動きが見られます。
このとき中国は戦争をしていませんし、世界的な病気もはやっていない。
なのに大量の人が亡くなっているのです。
第二次世界大戦で敗戦国となった日本と同じような動きをしています。
実は1960年の中国では何千万人もの人々が餓死しました。
嘘ではないです。本当です。
1960年中国では凶作が続きその上中央政府の的外れな政策が重なり、農作物の収穫量が大幅に落ち込みました。
地方政府はそれをごまかそうと、あるだけの食料をかき集めて中央政府に送ってしまいました。
地方に一切食べ物は残りませんでした。
翌年になると、道路のあちこちに転がる死体の様子や、人食いの痕跡が中央政府に報告されました。
しかし政府は計画経済の失敗を認めず、このことを36年間もひた隠しにしてきました。
何千万人もの人が亡くなったのにです。
このことは『毛沢東の大飢饉』に詳しいのでよければどうぞ。
読んでいてものすごく暗い気持ちになりますが、人類が二度と踏んではならない過ちです。
ペニシリンの大発明
1944年あたりに世界各国の平均余命がぐっと伸びる時期があります。
これはペニシリンの発見により感染症で人が死ななくなった、ことによります。
人類史にくっきり後を残す素晴らしい発見であったことがよくわかります。
まだまだあります
中東のアジア諸国は所得の割合に健康でない傾向がはっきりと見られます。
地域ごとに色分けされているのですが、やはり世界的に見るとアフリカ諸国はおくれをとっています。
しかし劇的に経済が成長している国々があることもわかります。
世界に占める中国インドアメリカの人口と経済力がいかに大きいのかもよくわかります。
最後に
私がこのグラフを知ったのは今日この本を読んだためです。
とてもとてもすばらしい本でした。ここ最近の圧倒的なナンバーワンです。
こういう本があると本を読む楽しさを非常に実感します。
書評はまた今度したいのですが、HONZというこれまた素晴らしい書評サイトへのリンクを貼っておくので興味のある方は是非。
Gapminder社の素晴らしいグラフを紹介させていただきました。
いかがでしたか?
まさに「世界史がわかるグラフ」だったと思います。
統計から事実をすくいだすことの楽しさを味わってもらえたらいいなと思ってご紹介させていただきました。
時間軸をうにょうにょうごかして日本がどういう道筋をたどって発展してきたかだけでもみてみてください。
世界はどんどん良くなっている!!!!!!
なんてすばらしいことでしょう!!!
なにかこのグラフで面白いことに気づいた方がいらっしゃれば是非是非コメントでお知らせください〜